第1章:すべては1本の串から始まった

39年前にデザインの会社から焼き鳥屋に転身
右も左も分からない若い頃、
初めて焼鳥の炭火の前に立ちました。
「料理は心です。愛情で焼きなさい」
その言葉を聞いた日から、
前田!誠二の人生は、鶏と炎と共に動き始めた。
努力より先に、料理経験もない僕は何もわからず焼き続けた。
炭の組み方もわからないし
鶏の旨味も理解できない。
ただ毎日、黙って串を打ち、黙って焼いた。
気がつけば、焼鳥が“人生の中心”になっていたのです。
■ 第2章:焼鳥は大衆料理ではない

僕は、いつしか疑問を抱くようになる。
「なぜ焼鳥は“安い・早い”ばかりで語られるんやろか?」
鶏の生命を頂き、素材の深さ、火入れの奥義。
どれも本気で向き合えば、料理としての価値は
計り知れないものがあります。
「焼き鳥を“文化”にしたい。」
その想いで作り上げたのが、
完全予約制・コース仕立ての「鶏割烹」という世界でした。
1本の串を、寿司の一貫や日本料理の一皿と同等の価値に。
僕の挑戦は、ここから本格的に始まりました。
■ 第3章:壁と挫折

当時、焼鳥をコースで出す店は、たくさん出店!
「もう時代遅れで、後発組は難しい」
そう言われていました。
特に大衆焼き鳥店から完全予約制・コース料理専門したせいで
客数は減りました。
店を続けることすら難しい時期があった。
だが僕は、ただ黙って焼いた。
そして心の中でこう決めていた。
「いつか必ず、自分の焼き鳥の価値を証明する。」
■ 第4章:たどりついた鶏割烹まことや

39年の経験を重ね、
前田の“焼き鳥哲学”が結晶となって生まれたのが、
現在の店「鶏割烹まことや」だ。
但馬鶏の個性を見抜き、
炭の火加減を読み、
脂の落ち方によって角度を変える。
同じ串でも、焼きはその瞬間によって変わる。
まことやのコースは、
**二度と再現されない“一夜限りの焼鳥”**である。
■ 第5章:前田!塾 —— 次の世代へ

20年位前から始めた前田!塾
職人歴が40年に近づいた頃、前田は悟った。
「自分が焼けるうちに、この技を伝えなあかん。」
20年前以上にその思いが強くなった。
背中を見て盗めなんていう時代はもう終わっている。
だからこそ、
串打ち・焼き・タレ・炭・一品料理・経営まで
すべてを体系化した“前田!塾”を作ったんです。
塾から巣立ったお弟子さんたちは、
自分の店を持ち、夢を掴み、
新しい焼き鳥文化の担い手になり始めているのです。
■ 第6章:焼鳥の未来をつくる使命

「焼鳥を、日本の文化にしたい。」
僕の願いは、今も変わらない。
鶏の命を扱う尊さ。
炭火と対話する奥深さ。
職人の手でしか作れない味。
そのすべてを、次の世代へ。
鶏割烹まことやは、
焼き鳥の未来をつくる場所
として、今日も炭に火が入り焼き続ける。
■ 最後に —— これからの前田!誠二
39年積み上げた経験を、
50年、60年の文化へ変えるために。
焼き鳥の魅力を伝え、職人を育て、
新しい店を送り出し、コース料理としての焼鳥の
価値を世界へ届けたい。
前田!誠二(鶏仙人)の物語は、まだ終わらない。
むしろ、ここからが本番である。
新たな物語を次々と作り出していきたい!

