焼き鳥業界の未来を拓くために必要なこと
――39年焼き鳥一筋の職人が語る展望――
焼き鳥は「もっと伸びる」食文化
寿司、ラーメンと並んで、日本の食文化を代表する料理の一つが焼き鳥です。
高タンパク・低脂肪でヘルシー、さらに世界中で受け入れられやすい鶏肉を使うこの料理は、今後ますます可能性を秘めています。
しかし、業界をさらに発展させるには、いくつかの課題をクリアする必要があります。
- 技術の継承と標準化
焼き鳥は「串打ち・焼き・タレ」の技術が命です。
ところが、長い修業や職人不足の影響で、この技術が十分に伝わらないまま失われる危険性も出てきています。
これからは、修業の厳しさではなく「技術を学べる魅力的な環境」を整えることが大切です。教育プログラムや動画教材などを通じて、誰でも学べる仕組みを作ることが業界全体の底上げにつながります。
- グローバル化と多様化
「Yakitori」は世界的にはまだ発展途上のジャンルです。
寿司やラーメンが世界に広まったように、焼き鳥もまた“世界共通語の料理”になれるポテンシャルを持っています。
その鍵となるのは、ワインやクラフトビール、日本酒とのペアリング。そして「鶏割烹」という新しい形の提案です。焼き鳥を居酒屋の定番から「和食文化の一角」へと進化させることが、世界市場を切り拓く第一歩になります。
- 経営の革新
食材の高騰、人材不足…。業界が抱える経営課題は深刻です。
今求められるのは「効率化」と「ブランド力」です。
データを用いた売上分析、客単価設計を導入することで、安定した収益モデルを築けます。
さらに、「焼き師の流派」や「認定制度」を作り、ブランド化を進めれば、お客様に安心と信頼を届けられるでしょう。
- 健康志向とライフスタイル提案
焼き鳥の強みは「健康的であること」です。
高タンパク・低脂肪という特徴は、ダイエットやスポーツ栄養、さらには美容分野にも応用できます。
例えば「ダイエット焼き鳥コース」や「ボクサー飯」といった新しい切り口で、焼き鳥を“健康食”として発信する。さらに冷凍・通販技術を活用し、「家庭でも職人の味を再現できる」商品展開を広げることも重要です。
まとめ
焼き鳥業界が発展していくためには、
技術の継承・世界展開・経営革新・健康路線 の4本柱が欠かせません。
焼き鳥は、ただの居酒屋料理ではなく、日本の食文化を代表する存在へ。
そして、世界中の人々の健康と喜びを支える食へ。
その未来を切り拓いていくのは、今を生きる私たち焼き師ひとりひとりの挑戦にかかっています。